採用ブランディングのご相談で、印象的だった言葉があります。
「うちは昇格要件をすべて公開しているんです。ガラス張りなんです。なのに、社員はあまり知らないし、公開されていることをメリットとも感じていない」
採用や人事の領域では、この構造が本当によく起きます。制度は充実している。研修は100種類以上ある。それなのに、社員にも求職者にも伝わっていない。多くの企業が「新しい制度を作らなきゃ」と考えるのですが、現場で見てきた実感では、足りないのは制度ではなく、届け方です。
まず情報を5W1Hで棚卸しする
たとえば研修制度なら、「何があるか(WHAT)」の一覧はたいてい存在します。しかし「いつ受けるべきか(WHEN)」「なぜこの研修が自分に必要か(WHY)」「どう申し込むか(HOW)」が語られていない。情報の部品は揃っているのに、受け手の時間軸に沿って編集されていないのです。
私たちが研修や制度のコミュニケーション設計をするときは、まず既存情報を5W1Hで棚卸しし、「入社1年目のAさんの1年間」のようなモデルケースに沿って再編集します。制度を作り直すのではなく、届け方を作り直す。多くの場合、それで十分に景色が変わります。
きれいな成功談より、泥臭い失敗談
求職者向けの発信にも、同じことが言えます。採用サイトに並びがちなのは、かっこいいプレゼン写真と輝かしい成功談です。しかし現場のリクルーターの実感は違います。「泥臭い失敗談のほうが刺さる。そして、それが刺さる人こそ、うちに来てほしい人だ」。
会社の弱みや仕事の大変さを見せることは、母集団を減らすようでいて、実は「合う人」の入社確度を上げます。加えて見落とされがちなのが、入社後の姿を見せることです。オンボーディングの面談制度や、入社半年の人の率直な声。「入ったあとの安心感」は、待遇の数字よりも雄弁に会社を語ります。

「どの部署でもいい人」はターゲットではない
最後に、採用広報の設計で必ず確認するのはターゲットの解像度です。「いい人なら誰でも」は、誰にも刺さらないメッセージを生みます。長く働いてほしいのか、即戦力がほしいのか。新卒か、経験者か。高卒採用なら、意思決定に影響するのは本人だけでなく学校の先生や親かもしれない。
誰に届けたいのかが決まれば、何をどの媒体でどう語るかは、自然と決まっていきます。
採用ブランディング・研修設計の進め方は、サービス紹介(採用ブランディング・研修設計)をご覧ください。



